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  Herman Van Rompuy ヘルマン・ファン・ロンパイ


1947年生まれ

ベルギー国務大臣、代議院議長などを経て、元ベルギー首相
2009年12月に初代の欧州連合大統領(欧州理事会議長)に就任し、2期5年務める。

2013年、松山市から特別名誉市民の称号を授与される
2015年11月、旭日大綬章受章
2010年、2013年に自身の俳句集を出版







 

art・和訳:Yagi Ken


がさごそは轍(わだち)の落葉踏む音よ
青海に環をつくりたる星永遠に
 

嵐去り海に焦げ跡残りけり
バベルタワーも届かぬほどに天高し
 

少年手を振れば呆然羊たち
ブラバントの丘なだらかに雪残る
 

明日には泥なり靴底の凍土も
露ごとに陽光宿す景色かな
 

打ち寄せる高波睨み出勤す
泡立ちて寄せ来る波を待ちうける
 

花林檎真白な春連れて来る
苑の花愛でられたくて咲き競ふ
 

爺つちやんの鳩クークーと春を呼ぶ
溝の蟇つるめば春の季節なり
 

皺顔に笑みのやさしき羊飼
ふくろうを空耳に聴き丑三つ時
 

死魚二三残され池普請終る
今年また果樹園花を咲かせけり
 

凍て海に片脚立ちの鴎かな
池に来し二羽は番(つがい)か離れざる
 

木にしがみつき一枚の枯葉
刈込みに芽の復活やイースター
 

凍結を解かれし山の笑ひけり
黄金の服着て金魚寂しさう
 

傾ぎつつ荒れ野を染める黄水仙
ゴシックの古城に見られゐる暮し
 

朝露の草を渡ればこそばゆし
海の光にマルタの町の白色は
 

ちぢれたりもつれたりの葉に秋陽さす
自転車に鳩の驚く麦の秋
 

夏へ一直線草むらに鳥跳ねて
愉しきは卓に真夏の光かな
 

鶏鳴を聴く湖の百千鳥
枝折れの林檎を拾ふ野分あと
 

寄り添いてともに老いたる人と犬
囀りの眼ざましとなる六時かな
 

その中の一羽際立ち囀れり
黄葉を急かせ蝕む秋の雨
 

僧祈る壁やはらかき砂漠色
お散歩のスミレを踏めば春の香よ
 

吹きすさぶ風にがまんの海の家
木々は葉を落として景のたそがるる
 

日当りのあれば日蔭も地球かな
寒空に温めし息を吐いてみる
 

棲む鳥のなき巣を隠しゆく茂み
その数は 幾千羽とも鳥渡る
 

うすらひも子ども靴には敵わない
鳩はしやぐ羽の響きを聴いてゐる
 

肌色も言葉も神も異なれど
生きること神の御手の中にかな
 


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